バスの1年を考えてみる(シーズナル思考)
シーズナル思考とは「その時期に、何のためにそこにいて、どんなエサを捕食し、どんな行動をしているのか」をシーズンを通して判断する事です。大まかに言えば、春はスポーニング(産卵)の季節だからシャローエリア(浅場)にいるとか、夏は水温が高く、日差しが強いから涼しいところにいる。などと考える事で、バスフィッシングの戦略を組み立てていきます。
しかし、ひとくちにシーズナルパターン(季節の決まりごと)と言っても、平地の野池と標高の高い山上湖では、同じ月でも最高気温も水温も違うように、フィールドの環境に大きく左右されます。ここがシーズナル思考の難しいところ。シーズナルパターンを知るためには、年間を通して同じフィールドに通い、すべてを熟知する必要があります。
バスと人とのシーズナル
勘違いしがちなのが「人間が感じる季節感と、バスが感じる季節の移り変わりにはかなり違いがある」ということです。最大の違いは人間は恒温動物であり、バスなどの魚類は変温動物ということです。
例えば、スポーニングにしても、鳥類であれば体温で卵を温めふ化させますが、バスはそれが出来ません。最適の水温で卵を産むことが子孫を残す絶対条件です。つまり、1~2℃の温度変化にも敏感に反応するということになります。
自然で感じる季節感
バスフィッシングで季節を感じる場合は、カレンダーではなく、フィールドの周りにある植物などで判断すべきです。平地の野池でも山上湖でも同じ植物が開花や紅葉する時は、日付は違っても同じ状況になる事が予想できます。
サクラや紅葉前線で知る季節
春はいつで、秋はいつからか?という疑問は誰でも持ちますが、サクラ前線や紅葉前線がある程度の物差しとなります。参考程度の考え方として「サクラが満開の頃がプリスポーン(産卵前)」など、自分なりのシーズナル思考を持つ事も大切です。
季節で変わるバスの基本活動
すべての生物がそうであるように、バスの生活も自分の子孫を繁栄させる事が主目的です。つまり、スピーニングこそバスのメインイベントになります。より条件のいい場所で、優位な異性個体と産卵するためには、他の固体よりも大きく強く成長する事が重要になります。そのためには、より環境のいいエリアで年間を通して捕食する必要があります。シーズンによっては活性の低い季節もありますが、それでもバスは常にエサを捕食しているという事を覚えておきましょう。
春
スポーニングはプリスポーニング(産卵前)、産卵、スポーニング(守卵期)、アフタースポーニング(産卵後)に分けられます。水温が16℃を超えると、砂礫底(されぎぞこ)にネスト(産卵床)を作り産卵します。
夏
バスは直射日光と高水温を嫌うので、夏になり水温が25℃を超えると、できるだけシェード(日陰)で水通しのいいところで過ごそうとします。また、風が当たる場所は水温も下がるので天然のクーラーを求めて移動するバスもいます。
秋
越冬に備えてベイトを貪欲に捕食する時期です。バスはベイトフィッシュの群れに、スクーリング(集団)してついて回遊します。爆釣の可能性の高い季節でもあります。
冬
水温が10℃を下回ると、バスの活性は極点に落ちます。それでもバスは定期的にエサを捕食していますが、水温が4~5℃までに下がると、動きが鈍くなります。風裏の日当たりのいいエリアなどに集まり水温が上がったときに活動的になります。