フーやキンクス、スモール・フェイシスなどのモッズ勢からジャムへ、そしてスミスへと受け継がれたものは、英国的なある種の雰囲気です。このブラーの3rdアルバムもそういった雰囲気を確実に継承しています。
それもそのはず、中心人物のデイモン・アルバーンはかなりのブリティッシュポップマニアなのです。音楽雑誌で自分のアナログ盤のコレクションを披露していましたが、そこに並べられたラインナップはビートルズはもちろんシド・バレット、ケヴィン・エアーズ、ボウイ、イーノあたりからストラングラーズ、バズコックス、ジョイ・ディヴィジョン、ワイアー、マッドネス、XTC等々ひとクセもふたクセもあるブリティッシュポップ一色でした。
シングルヒットした1曲目「GIRLS & BOYS」のテクノ調のイントロに驚かされ、続くXTC風の「TRACY JACK」のソリッドなギターでは思わずニヤリ。先輩格のスクィーズにカバーされたアコースティックな佳曲「END OF A CENTURY」を経て、とどめは映画『さらば青春の光』の主役フィル・ダニエルズをゲストに迎えた必殺のタイトル曲。これだけヴァラエティに富んでいながら散漫な印象がまったくないのは、どの曲からも必ずロンドンの雰囲気が伝わってくるからでしょうか。
ところで音楽性とはなんの関係ありませんが、こんなに屈折したポップマニアのクセにデイモンのルックスがあまりにも良過ぎるのは卑怯?
2003/02/09