孔雀の羽などをあしらった艶やかな衣装を身にまとい、フロントマンのブライアン・フェリーよりも目立ってしまったせいで(?)ロキシー・ミュージックを追い出されたブライアン・イーノの3rdアルバムです。
交通事故で入院中に彼の中で何かが変わり、活動の方向性をそれまでのグラマラスな路線からアンビエントへと移行していくことになりますが、これはそんな過渡期の彼がポップのフィールドに残したかなりの傑作です。ロバート・フリップやフィル・コリンズなどプログレ人脈の豪華なメンバーたちを動員して、ニューウェイヴの先駆けとも取れるクールなサウンドを構築しています。特に、決してうまくはない彼のヴォーカルの入った曲が実に魅力的で、3曲目の「セント・エルモの灯」ではフリップのギターソロと相まって、独特の音美学の極致を味わうことができます。
この人はこういった自分の作品だけでなく、プロデュースやコラボレイションなどにもすぐれたものが多く、関わった作品をたどっていくだけでもかなりの名盤に出会うことができる偉大なアーティストです。私は逆に、プログレ系のアルバムを買ってもニューウェイヴ系のアルバムを買っても、ことごとくこの人が関わっていたという経験があります。差詰めイーノ印の登録商標?
2002/08/19