ロキシー・ミュージックというバンドは、デビューアルバムからラストアルバムまですべての作品がその時点での最高傑作でした。これでもかこれでもかと進化して行き、ラストアルバムの『AVALON』でついに行き着くところまで行き着いた感がありました。ところが驚いたことに、まだその先があったんです。それがこのロキシー解散後初のブライアン・フェリーのソロアルバムです。
ブライアン・イーノ脱退後のロキシーは、極端に言えばフェリーの持つ独自の美学を具現化するためのプロジェクトといった趣がありました。よって、このアルバムは『AVALON』の延長線上にあるわけで、さらに進化(深化)した世界が描き出されています。
ところで、この人はよく「ダンディ」という言葉で紹介されますが、いわゆる「ニヒル」とか「ストイック」といったイメージとは対極に位置する人でしょう。むしろ、かっこいいのに実は情けないところに魅力を感じてしまいます。彼のそういった面をもっともよく表しているのが、このアルバムの2曲目の「SLAVE
TO LOVE」です。私はこの曲がフェリーの、ロキシー時代を含めての集大成ではないかと思っています。
また、ライヴでは、オープニングにきちんとタキシードを来て登場しながら、1曲ごとにネクタイがゆるみ、シャツの裾がだらしなくズボンから出てくるところが見所です。さながら結婚式帰りの酔っぱらいですよ。必見!!
2000/11/05