先日他界してしまったジョン・エントウィッスルが在籍したフーのアナログ盤では2枚組の傑作ロックオペラです。
元々フーはキンクスやスモール・フェイセスと並んでモッズに絶大な人気のあったブリティッシュビートバンドでした。また、楽器を壊したり、腕をグルグル回してギターを弾いたりと、派手なステージパフォーマンスにも定評がありました。そんな彼らがついにアルバム単位で実力を発揮したのがこのアルバムだと思います。
トミーという少年を主人公にストーリーを展開していく2枚組トータルコンセプトアルバムは聴きごたえ充分です。インストゥルメンタルやつなぎの小曲に導かれて、要所要所に「ピンボールの魔術師」や「THE
ASID QUEEN」、「I'M FREE」等の名曲が登場する構成が見事で、途中でだれるどころか一気に聴かせてしまうだけの勢いがあります。
この展開は後のプログレバンドに多大な影響を与えました。このアルバムがなければジェネシスの『幻惑のブロードウェイ』もピンク・フロイドの『THE WALL』もなかったのではないでしょうか。そういう意味でも重要なアルバムです。
さらに、このストーリーはケン・ラッセル監督によって映画化されたり、ゲストを多数迎えてステージで再現されたりと様々な形に発展しました。ピート・タウンゼントにとって、1粒(2粒?)で2度(3度?)オイシイ企画だったようです。
2002/07/10