GENESIS /
THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY

(1974)

 ピーター・ゲイブリエル在籍時のジェネシス最後の作品、『幻惑のブロードウェイ』は2枚組トータルコンセプトアルバムです。このアルバムでジェネシス(特にピーター)は創造性のピークを迎えています。
 主人公レエルの自分探しの旅を描いたストーリーが90分以上に渡って繰り広げられますが、それがとてつもなくシュールな旅で、聴いているうちにレエルと一緒に迷宮に迷い込んでしまいます。ピーターのエキセントリックなヴォーカルは全開、他のメンバー達もそれに負けじと複雑な演奏をこなしており、表題曲をはじめとして「囚われのレエル」、「CARPET CRAWL」等、ヴァラエティに富んだ楽曲群が切れ目なく続いていく展開は圧巻です。
 同じ2枚組トータルコンセプトアルバムというフォーマットでは、先駆者フーの『TOMMY』やピンク・フロイドの『THE WALL』等、単純明快なストーリーとサウンドによって映画化されるほど成功したアルバムがありますが、内容のおもしろさでは断然こちらに軍配が上がります。
 この後、自分自身の内面の苦悩や家庭の事情、メンバー達との感情のすれ違いなどが入り交じって脱退してしまうピーターですが、このようなラストにふさわしい一大傑作が残されたのであきらめはつきます。とは言うもののメンバー全員まだまだ元気なので、密かにこのときのメンバーでの新作を期待したりして…。その点だけはイエスあたりの節奏のなさを見習って欲しいものです(笑)

2002/08/06


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