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自らの創り上げたスタイルを惜しげもなく捨て去っては次々と新たな地平を切り開き、しかも常に時代の一歩も二歩も先を行っていた真に革新的なアーティスト、デイヴィッド・ボウイがベルリンに渡って制作した第２弾、『英雄夢語り』です。
このアルバムは、数々の名盤を生み出したボウイの作品の中でも特に、重厚かつ緊張感のあるサウンドをものにした傑作です。これはボウイ自身の才能ももちろんですが、参加アーティストの功績が大です。まず、前作『LOW』から引き続いてのコラボレイトとなるブライアン・イーノ。極端な話、このベルリン３部作はボウイ＆イーノ名義でもイイんじゃないかと思ってしまいます。さらにロバート・フリップ。タイトル曲をはじめとして主にA面で大活躍するこの人のギターの音色は、このアルバムのもう一つの主役と言えるでしょう。これだけの面子が揃って異化作用を起こした結果、こんなすさまじいサウンドができあがったわけです。冒頭を飾る「美女と野獣」のヴォーカルが出てきたときの緊迫感は何度聴いても鳥肌が立ちます。
それにしてもボウイの影響力は計り知れません。その後雨後の竹の子のように現れるニューウェイヴのアーティストたちでボウイの影響を受けていない人を探す方が難しいのでは？とさえ思えます。だからこそ、よく言われるように『LET'S
DANCE』以降の何作かは大いに不満。
2004/01/01