WIRE / A BELL IS A CUP...UNTIL IT IS STRUCK

(1988)

 再結成ワイアーの第2弾『虚実の構造』はタイトル、ジャケット、歌詞と、どこをとってもシュールなアルバムになっています。でも曲から受ける印象はけして難解ではなく、むしろポップなのが不思議。
 そもそもワイアーのメンバーは結成当時はまともに楽器が弾けず、他人の曲のコピーができなかったそうです。その頃はパンク全盛だったにも関わらずパンクすらできなかった模様。だからオリジナルを作るしかなく、「ロックでなければ何でもいい」などと開き直った結果、こんな独自のシュールな世界を作り出すことが可能になったのでしょう。もちろん再結成後は機材なども充実したようで、テクニック上の問題はまったく感じられません。
 1曲目から明るさのかけらもないものの、翳りを帯びた独特のメロディラインで一気にその世界に引き込まれてしまいます。そんな中に7曲目の「KIDNEY BINGOS」のような人なつっこい曲もあり、これがまたイイ味を出しています。
 打ち込みを多用するようになって存在価値が薄れてしまったからか、ドラムのロバート・ゴートゥベッドがやがて脱退。綴りを「WIRE」から一文字とって「WIR」としましたが、すぐ解散してしまいした。

2000/09/18


BACK