鬼才ビル・ネルソン率いるビー・バップ・デラックスの5枚目のスタジオアルバムであると同時にラストアルバムとなった『プラスティック幻想』です。
元々はグラムロックシーンの片隅から登場した感のあるこのバンドですが、パンクが勃興する前からニューウェイヴの先駆けともとれるモダンポップを創造していました。ビル・ネルソンが現在に至るまで一貫して追求し続ける近未来サウンドの具現化が、ライヴアルバムを挟んだ前作『MODERN
MUSIC』でいよいよ本格化してきたことは、そのタイトルを見ただけで一目瞭然です。
ビー・バップ・デラックスとしてのモダンポップの追求はこのアルバムで終止符を打つことになりますが、最高傑作の呼び声高い『MODERN
MUSIC』に勝るとも劣らない内容で、冒頭の「電気じかけの言葉」では、これまで以上にニューウェイヴを予感させる斬新なアレンジを聴くことができます。
ここで重要な役割を担っているのがプロデューサーのジョン・レッキー。ビルとともにニューウェイヴの先鞭をつけた彼はレッド・ノイズにも携わり、その後XTC、マガジン、シンプル・マインズなどといったパンク以降の重要なバンドを次々と手掛けていきます。
ちなみにこのカラフルなジャケットデザインはあのヒプノシス。近未来的なイメージを醸し出すのに彼らもまた一役かいました。
2003/11/27