シーンにニューウェイヴが台頭してくるはるか前から既に単体でニューウェイヴ路線をひた走っていた鬼才ビル・ネルソンの、ビー・バップ・デラックス解散後のソロプロジェクト、レッド・ノイズ唯一のアルバムです。
全編通してエキセントリックであると同時にユーモアに溢れた斬新なポップサウンドが炸裂しまくりで、冒頭の「DON'T
TOUCH ME (I'M ELECTRIC)」をはじめとして、次から次へと繰り出されるアイデア満載のアレンジの施された素っ頓狂な楽曲群にただただ圧倒されて、目(耳?)が点になります。
そのサウンドは他に類を見ない肌触りで形容しがたいようですが、実は初期XTCを彷彿とさせるどころか酷似しています。それもそのハズ、プロデューサーは双方ともジョン・レッキー。ただしデビュー間もない当時のXTCと比べると、年齢が上でキャリアもあるビルの方に一日の長があります。若さに任せて突っ走るXTCにも負けないスピード感がある上に、パワフルかつ多彩で手がつけられません。
その音に驚愕しながらも、聴いている最中にふっと我に返ると思わず爆笑してしまう、そんな珍盤です。
2004/05/04