カーヴド・エアの実質的なリーダーでありながら自ら脱退してしまったダリル・ウェイが結成したバンド、ウルフの1stアルバムです。
カーヴド・エア時代は妖艶なソーニャ・クリスティーナにスポットが当たりがちでしたが、このウルフにおいてはヴォーカルが魅力に乏しい分、ウェイの奏でるヴァイオリンの魅力が最大限に引き出されています。またウェイ以外のメンバーもテクニシャン揃いで、特にギターのジョン・エサーリッジのプレイは注目に値します。そんなこのバンドのアンサンブルを堪能できるのは何と言ってもインストゥルメンタル曲ばかりの後半(アナログ盤時代のB面)。中でも名曲「CADENZA」の息もつかせぬ展開は実にスリリングです。さらにラストを飾る「悲しみのマクドナルド」の叙情性もしみじみと趣深い美しさがあります。
それにしてもこのバンド、元カーヴド・エアのウェイをはじめとして、他のメンバーもそれぞれ、後にソフト・マシーンやキャラヴァンやマリリオン等に加入するというなかなかの経歴の人たちです。でも、プログレ的に最も輝かしいキャリアの持ち主はむしろプロデューサーを務めた元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドかも。
2004/07/15