ロック史上に偉大な足跡を残すプログレバンド、キング・クリムゾンが最初の終焉を迎えた(笑)4枚目です。客観的に見れば最高傑作とは言えませんが、個人的には最も好きなアルバムです。
まったくの私見ですが、このアルバムを最後にクリムゾンはそれまで持っていた大切な何かを失ってしまった気がします。それを強いて言葉にするなら叙情性でしょうか。その決定的な要因が、演奏面ではほとんど何の貢献もしていないと思われる作詞担当のピート・シンフィールドの脱退だとしたら皮肉なものです。冒頭の「FORMENTERA
LADY」から「船乗りの話」に続く流れもすばらしいですが、ピートの持たらす叙情性を最も顕著に表しているのが「プレリュード:かもめの歌」に導かれるラストの表題曲です。この美しさと深さの前には言葉もありません。
バンドはこのあとインプロヴィゼイションやら、凶暴性やら、訓練やら様々な面で進化、発展を遂げていき、それはそれですばらしい結果を残しています。ただ最近のライヴ音源の乱発はさすがの私も食傷気味ですね。正直言ってロバート・フリップの理論武装した商魂には辟易しております。
2002/03/18