THE SOFT MACHINE / SAME

(1968)

 複雑なファミリートゥリーを形成するカンタベリーロックの源流、ソフト・マシーンのバンド名は、オリジナルメンバーであり、後にゴングを結成するデイヴィッド・アレンの知り合いの作家ウィリアム・バロウズの小説のタイトルから取られました。これはその1stアルバムです。
 まず、ロバート・ワイアットケヴィン・エアーズという孤高のカリスマ2人が同じバンドにいたということは驚くべきことです。これはビートルズにジョンとポールがいたことに匹敵する奇跡と言えるでしょう。
 奇跡と言えば、中身も、ダダイズムやシュールレアリズムといったものに憧れるアート志向の3人の若者によって繰り広げられる音楽的実験を記録した偶然の産物であるわりに、どことなくポップな印象を受ける奇跡的な内容です。
 このアルバム発表後、まずケヴィンが脱退、さらにロバートも4枚のアルバムに参加後脱退してしまいますが、その度にヒュー・ホッパーやエルトン・ディーン、カール・ジェンキンス等重要なメンバーが加入し、ジャズ、フュージョン色の強い数々の名盤を残します。ただ、このアルバムのように自由奔放かつポップでユーモアを感じさせる作品は他にはありません。そういった点では、デビュー前に同じUFOクラブというライヴハウスでしのぎを削ったピンク・フロイドの1stと同様、1回限りの奇跡ですね。
 ちなみにオリジナルジャケは歯車の部分が回るらしいです。

2002/06/03


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