無自覚の大作曲家、元ビートルズのポール・マッカートニーの4枚目のソロアルバムです。
この人、どう考えても超大物なのに、カリスマ性とか風格がほとんど感じられないところが逆にすごいと思います。同じビートルズのジョン・レノンやビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンなどとはえらい違いです。それどころか彼らが沈黙していた時期にも、ポールはちゃんとウィングスで「売れてなんぼ」の名曲を次々と世に送り出したことが辛口のロックファンの失笑をかいました。
この人の場合、周囲が肩すかしをくらうような無頓着さと屈託のなさが魅力の一端にあるので、このアルバムのように力作にも関わらずなんてことない感じの作品こそキャラに合っているような気がします。例えばタイトル曲なんてポールならいくらでも書けそうですが、他の誰にも書けないメロディだし、5曲目「SO
BAD」なんて思いっきりさりげない名曲です。その上マイケル・ジャクソンとコラボレイトした2曲目「SAY
SAY SAY」はお互いの持ち味をなんなく融合させてちゃんと大ヒットしています。また、それらシングル以外の小曲もことごとくポール節で嬉しくなります。
天才ぶりを感じさせない真の天才のナチュラルな天才ぶりが堪能できる名作です。
2003/01/27