CARAVAN /
IF I COULD DO IT ALL OVER AGAIN,
I'D DO IT ALL OVER YOU

(1970)

 ワイルド・フラワーズというローカルバンドから、その後のカンタベリーミュージックシーンを代表する2つの重要なバンドが誕生しました。1つはソフト・マシーン、そしてもう1つはキャラヴァンです。これはそのキャラヴァンの2ndアルバムで、邦題は『キャラヴァン登場』。
 プログレやジャズロックの文脈で語られることの多いキャラヴァンですが、彼らの魅力はむしろその素朴であったかいサウンドにあります。朴訥なテナーヴォイスのリチャード・シンクレアと、高音でハスキーなパイ・ヘイスティングスというまったくタイプの違う声質のヴォーカルが、デイヴ・シンクレアの奏でる独特の音色のオルガンにのって聞こえてくると、そこはもうぬくもりに満ちたキャラヴァンの世界です。特に4曲目「聞く耳を持て」におけるオルガンソロの味わいは、ジェネシスの「FIRTH OF FIFTH」におけるスティーヴ・ハケットのギターソロにも匹敵すると言えるでしょう。さらに、アルバム全体を通して楽曲を引っ張るリチャードのベースラインも特筆すべきものがあります。
 しかし、アルバムを出すたびに、デイヴが抜け、リチャードが抜けてしまいます。その後リチャードはハットフィールド&ザ・ノース〜ナショナル・ヘルスと次々と名バンドに参加していき、かくしてカンタベリーミュージックシーンの人脈図は複雑化を極めていくわけです。(苦笑)ちなみにキャラヴァン自体もパイ主導で存続し、リチャードも途中復帰したりして、いよいよ複雑。
 

2002/08/24


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