キャラヴァン〜ハットフィールド&ザ・ノース等の中心人物としてカンタベリーミュージックシーンにその名を刻んだリチャード・シンクレアが、元キャメルのドラマー、アンディ・ワードらと組んだソロプロジェクト、キャラヴァン・オヴ・ドリームスのアルバムです。
カンタベリーサウンドと一口に言っても様々な魅力がありますが、このアルバムは差詰めその見本市です。ジミー・ヘイスティングスやデイヴ・シンクレアも参加し、持ち前の卓越したテクニックを駆使したジャジーなインプロヴィゼイションを繰り広げながら、楽曲自体は実にポップで、描き出されるのは究極的にのどかなカンタベリーワールド。そしてそれを決定づけているのは何と言ってもリチャード自身の朴訥なテナーヴォイスでしょう。プログレ界にはピーター・ゲイブリエル、ジョン・アンダーソン、ロバート・ワイアット等、その声だけで空気を変えてしまうようなヴォーカリストが多く存在しますが、リチャードもまた然り。ただし彼らと比べると地味〜。(苦笑)
ちょっと気になるのは微妙なバンド名。穿った見方をすると、キャラヴァン名義にしたかったものの、本家の権利はパイ・ヘイスティングスが持っているため、未練たらたらの苦肉の策でこういった名前にしたのかも。でもアルバム中で数曲再演しているのはハットフィールドの方の曲です。
2004/05/08