ジェネシスがプログレバンドとして最も充実した活動をしていた時期のリードギタリスト、スティーヴ・ハケットの2枚目のソロアルバムです。
彼のスゴさは、ロックはもちろんブルース、フュージョン、クラッシック等々、あらゆるジャンルのテクニックを身に付けている点です。ところがこのアルバムは、そのテクニックを前面には出さず各曲の中で効果的に用いたことでヴァラエティに富んだ内容となっています。爽やかなアルペジオで始まる1曲目「NARNIA」がカンサスのスティーヴ・ウォルシュのヴォーカルを活かした明るいポップソングかと思えば、4曲目はまるでエリック・サティ風のインストゥルメンタルといった調子です。注目は、黒人ヴォーカリスト、リッチー・ヘヴンスの歌う「HOW CAN I ?」。どことなく最近のピーター・ゲイブリエルに声質が似ていることもあって、怖いくらいのハマりかたです。これらの曲を聴いていると彼が単なる技巧派のギタリストではなく、優れたソングライターでもあることを実感します。
でも、こんなに引き出しの多い彼ですが、たまに色気を出して作る産業ロック風の作品はいただけません。だいたい産業ロックなのに売れてないし。(苦笑)
2002/07/14