アメリカンプログレッシヴロックの雄カンサスが7枚(ライヴを含む)のアルバムを出し大成功を収めたあと、ちょっとした息抜きのつもりだったのか、リーダー格の二人、ケリー・リヴグレンとスティーヴ・ウォルシュは相次いでソロを発表しました。こちらはリードヴォーカル兼キーボード奏者、スティーヴのソロアルバムです。
本家のサウンドをより大仰にしたようなケリーのソロ作に対し、スティーヴは自らのルーツに立ち返るつもりだったのか、ストレートなロックンロールサウンドを目指したようです。といってもギターよりもキーボードの音が目立っているのは彼ならでは。冒頭を飾る軽快なノリのタイトル曲でも、3曲目のバラード「哀しみの夜」でも、彼の強いタッチのピアノが響き渡ります。
そして何と言ってもその伸びやかな声質。このシンプルなサウンドのソロアルバムにおける彼のヴォーカルを聴いていると、逆にドラマチックなカンサスサウンドにこそ彼の声が不可欠であることを痛感します。なのにその後皮肉にも彼はこのソロで味を占めたのか一時バンドを離脱してしまうのです。彼を失った本家は尻すぼみ的に解散し、結局彼が復帰したことで復活を遂げています。
それにしてもこのジャケットはあまりにもダサ過ぎ!!
2003/10/13