80年代初頭に興ったポンプロックとかネオプログレッシヴロックとか言われたムーヴメントの旗手マリリオンが、ライヴアルバムを挟んで放った3枚目のスタジオアルバム『過ち色の記憶』です。
ピーター・ゲイブリエルを引き合いに出されるようなシアトリカルなパフォーマンスを見せるリードヴォーカリスト、フィッシュの存在によって、この頃の彼らはジェネシスのフォロワーと目されていました。でも、そのフィッシュが木こりだったとか、2メートルもある大男だとかいう情報を聞くにつけ、こと品格という点においてはピーター・ゲイブリエルとは大分違うなぁと感じてしまったのは私だけでしょうか?そう考えるとジャケットの色使いなども品がないように感じられるから不思議なものです。(苦笑)
ただし、ジェネシスのフォロワーなんて捉え方をしなければ、これはかなりの傑作だと思います。アルバム全体がトータルコンセプトアルバムになっている上に、曲が切れ目なく続いていくメドレー形式。さらに、個々のデキもなかなかのもので、例えば2曲目「追憶のケイリー」は当時シングルカットされて、本国では見事チャートの1位に輝いており、他にも「LAVENDER」など佳曲ぞろいです。
ところが、次作を最後にフィッシュは脱退。それでもバンドはその後、ギタリストのスティーヴ・ロザリーを中心に第二のピークを迎えていることから、単なるフォロワーにはとどまらない音楽性を有していたことは間違いありません。
2005/06/25