ベースを抱いた渡り鳥、ジョン・ウェットンがプログレッシヴロックの代名詞キング・クリムゾン、遅過ぎた超絶プログレバンドU.K.、悪しき産業ロックの権化エイジア等を経て発表したソロアルバムです。
個性派揃いのブリティッシュロックシーンにおいてカリスマ性のあるヴォーカリストは枚挙にいとまがありませんが、彼ほど歌心を持った人はそうそういません。かつてクリムゾンがもっともアグレッシヴだった時代に、男気のある歌いっぷりでメロディ面を支えました。
そういったメロディの良さが全開の本作は、ほとんどの曲が3〜4分程度で、全曲シングルカット可能なパーフェクトポップのオンパレードです。1曲目の「RIGHT
WHERE I WANT TO BE」はエイジアにはなかった軽快なリズムがウェットン節とフィットして新鮮です。逆に2曲目「BATTLE
LINES」はその歌声を最大限に生かしたバラードで、彼のキャリア最高傑作といっても差し支えないと思います。
ただ、エイジア以降クセになってしまった大仰なアレンジは微妙ですね。もっとも当の本人がこういうアレンジが好きなんだからしょうがないか。
2002/05/16