VEGAS / SAME

(1992)

 元スペシャルズ他のテリー・ホールと元ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートのユニット、ヴェガス唯一のアルバムです。
 この前に、テリーはテリー・ブレア・アンド・アヌーシュカ、デイヴもスピリチュアル・カウボーイズというそれぞれのユニットを短期間で終了しており、続くこのユニットもアルバムたった1枚で終わってしまいました。テリーの方は元々長続きとは無縁の活動をしてきましたが、もしかしたら彼らにとってこの時期は自らの方向性を模索している状態だったのかもしれません。
 では内容はどうかと言うと、コレがなかなかすばらしい。打ち込み主体で、リラックスムードの軽やかなポップでありながらも、持ち前のセンスの良さで、きっちりとツボを押さえた作りとなっています。中でも1曲目「POSSESSED」はサイコーのデキ。前半の囁くようなスタイルとサビの歌い上げ方の対比が絶妙のコントラストをなし、また後半にいくにつれてどんどんカラフルなアレンジが施されているため、聴いているとゆっくりと上昇気流に乗っていくような不思議な浮遊感を覚えます。これぞまさにポップのマジック!
 それにしてもこのジャケットの二人、表情にまったくやる気が感じられませんが、敢えてねらってるんでしょうね。個人的にはそのゆるさにたまらない魅力を感じますが、そこそこキャリアのある二人のわりにほとんど話題にならなかったのは、そういったスタンスに問題があったのかも。
 

2005/04/30


BACK