PAUL CARRACK / SUBURBAN VOODOO

(1982)

 ポール・キャラックはジュールス・ホランド脱退後のスクィーズに加入したり、再結成ロキシー・ミュージックの準メンバーになったりと地道に音楽活動を続けていた実力派です。ジェネシスのマイク・ラザフォードのソロプロジェクト、マイク&ザ・メカニクスにヴォーカリストとして参加したときにヒットを飛ばし、その勢いで自身のソロもブレイクしました。これはそんな彼がブレイク前にニック・ロウのバック(ノイズ・トゥ・ゴー〜カウボーイ・アウトフィット)をつとめていたときに発表した2ndソロアルバムです。
 彼の魅力はなんといっても黒っぽい声質を活かした独特の歌いっぷりです。知名度はともかくヴォーカリストとしての力量はスティーヴィー・ウィンウッドやロッド・スチュアートあたりに匹敵するのではないでしょうか。ニック・ロウのプロデュースによるナチュラルなバンドサウンドは、ブレイクした3rd以降の大味なアレンジよりもよっぽど彼の魅力を際立たせています。1曲目の「LESSON IN LOVE」からラストの「I FOUND LOVE」までまさに粒揃いで、これと前後してほぼ同じメンバーで録られたニック・ロウのアルバムよりも全体の完成度は高いくらいです。いいのか、ニック?それで…。

2002/12/12


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