元ヘンリー・カウのベーシストで、『KEW. RHONE.』やザ・ロッジ等でピーター・ブレグヴァドと幾度となくコラボレイトしているジョン・グリーヴスのソロアルバムです。
同じくカウのメンバーだったフレッド・フリスやクリス・カトラーらがフリーインプロヴィゼイションの道を歩んだのに対し、彼はあくまでポップのフィールドで作品を残しています。とは言っても一般的な意味でのポップとは大分趣を異にしており、カウ時代からのインテリジェンス溢れるアヴァンギャルドさが随所にみられます。その上、英国出身でありながらフランスのパリに在住している彼の音楽には、非常にヨーロッパ的な深みが感じられます。
このアルバムでは何曲か過去の自作曲を再録し、新たな生命を吹き込んでいます。中でも圧巻は、アコースティックなアレンジでロバート・ワイアットにヴォーカルを依頼した「THE SONG」。ピーター・ブレグヴァドの詩にジョンが曲をつけ、ロバート・ワイアットが歌うということだけで夢のようです。「All
summer long, When we were young」と繰り返しながらフェイドアウトしていくエンディングを聴いていると、なぜか泣きそうになります。
真にアーティスティックなポップの傑作。
2002/04/14