ロバート・ワイアットはソフト・マシーンのオリジナルメンバーであり、中心人物でしたが、アルバム4枚に参加した後音楽性の違いから脱退してしまいます。そして結成したのがマッチング・モウル。これはその1stアルバム『そっくりモグラ』です。
初期ソフト・マシーンのアヴァンギャルドなポップ性とユーモアに魅力を感じていた私にとっては、中期以降クールなジャズロックを演奏するようになっていく本家よりも、ロバートを中心としたこのマッチング・モウルの方こそ本来のソフト・マシーンに思えてしまいます。ロバートをはじめ、元キャラヴァンのデイヴ・シンクレア、後にハットフィールドのメンバーとなるフィル・ミラー、クワイエット・サンのビル・マコーミックらが奔放な演奏を繰り広げます。蒼々たるメンバーによってフリーなインストゥルメンタルが続く流れは浮遊感たっぷり。また、その中にあってロバートの独特の歌声の聴ける1曲目「O
CAROLINE」の美しさは特筆すべきものがあります。
そして何と言ってもこのかわいらしいジャケットデザイン。ソフト・マシーンをフランス語に訳し、それを英語読みにしたときの意味をイラストにしたそうですが、このあたりの言葉遊びのセンスもたまりません。
2003/07/22