1stアルバムから「ラジオスターの悲劇」を大ヒットさせた2人組のユニット、バグルスがイエスの『DRAMA』に参加後、地味に発表したこの2ndアルバム『モダン・レコーディングの冒険』は、まさに隠れた名盤です。
打ち込みを多用していますが、当時台頭してきたエレポップの文脈で語るより、むしろ環境音楽にはしる前のイーノやビル・ネルソンあたりに共通する近未来派のサウンドととらえるのが的確です。また、サウンド面でのアイデアが豊富なことから、ビートルズがアナログ時代に実践したポップのフィールドにおける音楽的実験をテクノロジーの発達に即して継承したととらえることも可能です。実際トレヴァー・ホーンはこのバグルスの後、ZTTレーベルの仕掛け人としてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、アート・オヴ・ノイズ、プロパガンダ等のプロデューサーとして数々のヒットを飛ばし、チャートを席巻しています。
楽曲で注目すべきは、イエス名義で既に発表されていた曲をタイトルを変えて再録した4曲目「I AM A CAMERA」。イエスの過剰な演奏とは対極にあるクールなアレンジで、まさに近未来的。
ところで近い未来とか言っても、絶対そんな未来が来ることはないんです。来ないうちにレトロな感じさえしてきて…、ちょっとレトロな近未来という矛盾が逆に魅力?
2002/11/04