フロントマンであるミッジ・ユーロのソロ活動を挟んで出た第二期ウルトラヴォックスのラストアルバムです。
もはや翳りを帯びたロマンティックなメロディはここにはありません。オリジナルメンバーのウォーレン・カーンが脱退し、代わりにミッジのソロアルバム『THE GIFT』に続いて参加したビッグ・カントリーのマーク・ブレゼジッキーが叩き出す重いけれど躍動感のあるダイナミックなリズムに乗って、ドライヴ感溢れるハードエッジなギターが炸裂しています。同様のサウンドは確かに「ONE
SMALL DAY」で既に打ち出してはいたものの、ここまでやってしまうとは?!決して悪いサウンドではないんですが、正直言ってこれをウルトラヴォックスとしてやる必要があるのかという疑問も当然出てきます。さらにスゴいのはチーフタンズまで起用して本格的にトラディショナルに迫った「ALL
FALL DOWN」。ミッジ独特の歌いっぷりにはほれぼれするものの、これもやはりウルトラヴォックスとしては違和感があります。案の定ウルトラヴォックスは本作をもって一旦活動を停止し、ここで提示された方向性はほとんどミッジのその後のソロに継承されていくのです。
それにしても、ラストを飾る壮大なオーケストレイションを施した一大サウンドスペクタクル「ALL IN ONE DAY」は特にやり過ぎ。まぁ、そのあたりにミッジの、やりたくなったらとにかくやってしまう音楽家としての無邪気さがよく表れているかも。
2005/02/16