バンドエイドにおいてサウンド面での指揮官を務め、個人的にも確固たる地位を築いたミッジ・ユーロが、ウルトラヴォックスの活動を一時停止してついに放ったソロアルバム。これ以前にも「NO
REGRETS」という単発のシングルはありましたが、本格的なフルアルバムとしてはこれが初めて。
彼が中心となったウルトラヴォックスもスタイリッシュにキメていたニューロマからは脱却していましたが、こちらはソロアルバムということもあってホントに肩の力の抜けた気取りのない姿をさらけ出しています。まずジャケットのポートレイト。こんな無精ヒゲはニューロマ時代の彼には考えられませんでした。
そのスタンスは1stシングル「すべての愛は君だけに」で非の打ち所のない自然体のパーフェクトなポップソングとして具現化され、見事チャートの1位に輝いています。他にも「風の訪れ」や「君の微笑み」等々、あまりにもナチュラルなメロディの爽やかな楽曲が満載で拍子抜けするくらい。ちょっと異色なのはジェスロ・タルのカヴァー「LIVING IN THE PAST」ですが、それとてリスペクトする対象を包み隠さず披露した点で自然体という判断が可能です。
おもしろいのは、これと、ジョン・フォックスが突然爽やかな転身を遂げようとした『IN MYSTERIOUS WAYS』がほとんど同時期に出たこと。どっちかがどっちかを意識したのか、はたまたまったくの偶然か?ともかくこのガチンコのタイマン勝負、セールス的には当然ミッジに軍配が上がりました。
2005/02/14