‘B級テナー’というありがたくない称号が枕詞につくことの多いハンク・モブレー(ts)の代表作です。
巨人ソニー・ロリンズ(ts)や聖人ジョン・コルトレーン(ts)と比べると、時代を切り開いていくような革新性に欠けるためか、よく上述のように紹介されてしまうこの人ですが、その典型的なバップ系のプレイはもちろんA級で、傑作も数多く残しています。中でもこのアルバムは、ワンホーンで軽快なフレーズを次々と繰り出しており、ウィントン・ケリー(p)との相性も抜群で、押しも押されもせぬ名盤です。
時代を作った音というものは、その時代を過ぎると古びて聞こえることがしばしばあります。そう考えると、この人は常に普遍的なプレイをしていたわけだから、逆に永久に古びることはないのかもしれません。モダンジャズのテナーマンはかくあるべし!そういった意味で、ハンク・モブレーは不滅です。
2008/04/15