ジェネシスの初代ギタリスト、アンソニー・フィリップスの3枚目のソロアルバムです。
今でこそ悠々自適な創作活動が高じて癒し系のインストゥルメンタルアルバムばかり発表している彼ですが、この時点ではまだまだポップのフィールドにおいて、それなりに気合いの入った作品を残してくれました。彼自身はとっくに脱退しちゃってるにも関わらず、ちょうどポップ化を図りつつあった同時期のジェネシスに近いサウンドです。
シングルカットされた冒頭の「UM & AARGH」は、時代的にリズムはタイトですが、プログレの残党らしいちょっぴり凝ったアレンジを施したなかなかの佳曲。他にも前作のリリカルな路線を踏襲した「LUCY WILL」や後のアンソニー・フィリップス・バンドにも通じる軽快な「SIDE DOOR」等々、アナログ盤A面ではコンパクトなポップが並びます。一方B面は比較的長めの曲で構成されており、特にラストを飾るプログレッシヴなインストゥルメンタルナンバー「NIGHTMARE」は聴きごたえ充分。
前作に引き続きマイケル・ジャイルスとジョン・G・ペリーのリズム隊が参加し、プロデューサーもルパート・ハイン。願わくはこのメンツでもっと何枚もやって欲しかったなぁ。『PP&P』のシリーズは、アレはアレでイイんだけど…。
2005/01/25