ジェネシスのメンバーは元メンバーも含めて、それぞれにソロで活躍していますが、中でもアンソニー・フィリップスはとびきり地味な存在です。ところがこの人、驚くほどたくさんのアルバムを出しています。そのほとんどはインストゥルメンタルですが、この2ndアルバムに関しては、全編ヴォーカル入りの曲で構成されています。
ジャケットからしてまるで絵本の表紙のようですが、中身もまた、この人を形容するときにしばしば用いられる内省的、幻想的ということばのとおりで、おとぎ話でも読んでいるような印象を受けます。また、本人がイギリスの上流階級の出であるという先入観を持って聴くと、さらに高貴で優雅な世界を味わうことができます。本人がヴァイカーという変名で披露する朴訥なヴォーカルまで、実にジェントリー。
ちなみに、このアルバムを始めとして何枚ものアンソニーのアルバムジャケットを手がけているピーター・クロスという人は、後にギフトカードの絵を手がけアンソニー本人よりも大成功を収めたということです。このジャケットを見ていると、思わず納得してしまいます。
2000/09/03