『IN MYSTERIOUS WAYS』の失敗(?)の後沈黙を続けていたジョン・フォックスが、ルイス・ゴードンなる人物と組んで実に10年ぶりに発表したアルバムです。
沈黙する直前は柄にもなく、きっかけさえ掴めばチャートインしそうなソフィスティケイトされたポップにも挑戦した彼でしたが、残念ながら成果を上げることはできませんでした。そこで、じっくりと時間をかけて自らの立脚点を見据えた結果、出した答えがこのアルバムということになるのかもしれません。『METAMATC(メタル・ビート)』の頃のテクノサウンドに回帰しながら、曲によっては中期ビートルズのマッドさも取り込んで、彼ならではのクールな音世界を構築しています。特に、オマージュなんて次元ではすまされないほど「TOMORROW NEVER
KNOWS」にメロディが酷似した「THROUGH MY SLEEPING」はビートルズ ミーツ クラフトワークといった趣。あり得ない組み合わせをジョンが現実のものにしてしまいました。また、タイトル曲ももちろん彼だけがなし得る世界ですが、これに関しては後のライヴでより真価を発揮することになります。
長い時間を要しただけあって、彼はこの方向性を自信を持って打ち出したようで、売れる売れないに関わらずこれ以降活動が一気に活性化していきます。あるいは開き直ったのかも。もちろん大歓迎です。
2005/02/17