ミッジ・ユーロの加入をきっかけに英国ではチャートの常連となった華麗なる四重奏楽団、第二期ウルトラヴォックスの3枚目のアルバムです。
故コニー・プランクとのコラボレイションによってヨーロピアン感覚のロマンティックかつ硬質なサウンドを極めた彼らが次に白羽の矢を立てたのは、あのビートルズサウンドを支えた名プロデューサー、ジョージ・マーティンでした。こういったニューウェイヴ系に、大物ならではの存在感がミスマッチで意外な感じがしましたが、冒頭に収録された先行シングル「REAP
THE WILD WIND」を聴いて納得。どこまで御大が関わったのか詳しくは分かりませんが、ともかく今までのウルトラヴォックスにはなかった明るく爽快なライト感覚のイントロが、ちゃんと違和感なくロマンティックなメロディに繋がっています。ただし、一気にアルバム全体をそういった方向に持っていったわけではなく、「VISIONS
IN BLUE」のような深みのあるドラマティックな曲や「WE CAME TO DANCE」といった翳りを帯びたダンスチューンをちりばめて、ウルトラヴォックスとしてのパブリックイメージを大きく逸脱しないようにまとめているバランス感覚が見事です。個人的に思い出深いのは、当時アルバムより先にドーナツ盤で買ってヘビーローテイションした「聖歌」。エレクトロニクスに乗せてコテコテのメロディを歌い上げるミッジにしびれました。最終的にこのアルバムからは上述の4曲全てがシングルカットされ、それぞれヒットを記録。ということで、セールス的にはここが絶頂期でしょう。
ちなみにこのセンスの良いジャケットデザインは前作から引き続き、ジョイ・ディヴィジョン〜ニュー・オーダー等も手がけているピーター・サヴィル。
2005/02/09