本人たちもいいかげんウンザリでしょうが、このバンドについて語るときはどうしてもその前身バンドについて触れざるを得ません。イギリスのマンチェスターで結成されたインディーズバンド、ジョイ・ディヴィジョンはアメリカ進出の直前にカリスマヴォーカリスト、イアン・カーティスを首吊り自殺という最悪の事件で失いました。その後バンド名をニュー・オーダーと変え、ジョイ・ディヴィジョン時代をはるかに凌ぐ成功を収めても、このことは長く彼らについて回りました。しかも彼らの曲が、明るい曲でもどことなく寂しげな様相を呈していたため、なおさら痛みを抱えているようなイメージを助長してしまったのかもしれません。とはいっても、それはあくまで周りが騒いでいただけで、彼ら自身はこのアルバムあたりから吹っ切れていたのではないかと思います。
バーナード・サムナー(通称バーニー)のあまりにもヘタクソな歌とギターカッティング、ギタリストがヘタな分リードギター的に曲をひっぱるピーター・フック(通称フッキー)のベースライン、そして冷たいデジタルビートがこのアルバムの魅力です。
ところで、なぜリーダーでもなんでもない、バンド内でなんの権力もなさそうなドラムのスティーヴン・モリスの顔のアップがジャケットに使われているのか謎です。
2000/09/07