ジェネシスの記念すべきデビューアルバム…というにはちょっと異質なサウンドの、とりあえず1作目『創世記』です。
そもそも初期型ジェネシスのサウンドは、複雑な展開をみせる緊密なアンサンブルが唯一無二の魅力ですが、このアルバムに関してはギターといいドラムといい、おざなりに施されたバックのストリングスといい、まだまだオリジナリティに欠けていると言わざるをえません。
ところがこのアルバムには他のアルバムにはない独特の雰囲気があり、それがたまらない魅力となっています。当時ジェネシスは「ムーディー・ブルースとキング・クリムゾンの中間に位置するグループ」と紹介されたそうですが、確かに初期ムーディー・ブルースのような英国ロマンを感じさせます。こんなにジェントリーなサウンドはジェネシス史上二度と聴くことができません。またピーターのヴォーカルも、冒頭の「なみだが蜜に変わるとき」や「僕はいけないことを?」、「死せる太陽」等々、その後のエキセントリックさとはほど遠いジェントリーな歌いっぷりです。
全盛時のジェネシスのアルバムを一通り聴いた後で最後に、「こんなアルバムもあったんだぁ」としみじみ味わいたい通向けの1枚。
2004/06/19