守る会情報その他

　　事件発生から４４年目にして、やっと辿り着いた再審無罪！ここに至るまでは、本当に長い道のりでし
　た。しかし、今回の再審裁判で新証拠として採用された証拠を含めて、全ての証拠は、この４４年間ずっ
　と検察側の手許にありました。しかも、その証拠は、明らかにふたりの無罪を指し示すものでした。それ
　らの証拠を、捜査段階ないしは起訴段階でキチンと精査したならば、本来このような裁判はありえなかっ
　たはずなのです。捜査官及び検察官の間違った思い込みによって、あるいは何らかの悪意ある意図によっ
　て、長く不毛な裁判が続いてしまいました。それによって、桜井さん・杉山さんのみならず、その家族す
　らも塗炭の苦しみを味わうような結果を招いてしまったのです。なお、残念ながら、７日の検察側の記者
　会見では、この点について何の反省の弁もありませんでした。

　　このような冤罪事件が起こる背景には、『原発の安全神話』と同じような構図があると言えるのではな
　いでしょうか。すなわち、初めに結論ありきで、「原発は安全だ」「ふたりは有罪だ」という事に反する
　意見は、全て排除され、尚かつ、それに反論するような人々は、少なからず左遷の憂き目に遭わされたと
　いう事です。そして、その結論にあくまでも固執し、守護するために＜証拠・データ＞の改竄(かいざん)
　や隠蔽(いんぺい)すらも厭(いと)わなかったのです。その為に、真実は覆い隠されてしまいました。しか
　し、事実を無視した間違った考えはいずれ破綻するものなのです。この度の東京電力福島第１原発の事故
　では、『原発の安全神話』に固執したために、安全対策は不完全なものとなり、いざという時に適切な対
　応を採る事が出来ませんでした。また、ふたりの有罪に固執するあまり、それ以外の可能性には全く目を
　向けられず、恐らくいたであろう真犯人は、この４４年間野放し状態でした。

　　布川事件は、ある意味で幸運でした。ふたりの有罪を示す客観的証拠は皆無で、自白のみが唯一の証拠
　でしたが、その自白は、現場に残されていた証拠とは明らかに矛盾したものだった上、起訴事実を突き崩
　す目撃証人がいた事です。それらの証拠は、検察側によって長い間握りつぶされていたのですが、弁護団
　の熱意ある証拠開示請求によって、最終的にふたりの無実を立証することができました。

　　残念ながら、日本には無実を立証出来ずにいる冤罪事件が多々あります。取り調べの可視化は、まだ緒
　についたばかりで、その効果のほどはまだ分かりません。不幸な冤罪事件を再び起こさない為にも、起訴
　時点で検察側の捜査資料および証拠の全面開示を義務づける必要があるように思われます。


この日、朝から降っていた雨も午後には止み、　裁判史上に残るふたりの完全勝利に相応しい、　文字通り＜晴れの舞台＞が整いました。　　裁判所前には、その記念すべき瞬間に是非と　も立ち会おうと支援者の方々や報道陣が多数詰　めかけていて、熱気にあふれていました。　　午後１時、ふたりは弁護団に付き添われて裁　判所の門をくぐりました。

	３時間以上にもおよぶ判決公判の後、裁判所の　玄関から出てきたふたりの顔は、これ以上ないほ　ど実に晴れやかでした。　　44年もの長きに亘り、ふたりは余りにも重い荷　物を背負わされて来ました。その軛(くびき)から　解放された晴れやかさ！　　それは、判決後の記者会見での桜井さんの「だ　んだん体が軽くなり、無罪になるっていいなと思　った」という言葉にも表れています。

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