事件現場は語る −写真でつづる布川事件−
布川事件は、このように昼間でも人通りの
少ない閑静な場所で発生しました。
左手前の家が玉村さん宅で、この通りを直
進すると横町バス停に至ります。この写真で
は見えませんが、玉村宅から3軒おいて手前
が布川駐在所でした。
下の写真は、玉村宅の南側。手前が玄関で
奥に見える沓脱石の所が問題の勝手口。判決
では、桜井さんがこの勝手口左側のガラス戸
を右に3分の1程開けて、玉村さんと話した
ことになっています。この矢印の所が、桜井さんが偽装工作の為
にわざわざ脱出したとされている便所の窓。
この写真からも分かるように、かなり高い
位置(地上1.6m〜1.7m位)にあります。木材な
どが乱雑に立て掛けてあり、足場はかなり悪
い状態です。
この日は、朝から小雨がパラつく愚図つい
た天気で、しかも夜の夜中。その為、この場
所はほとんど暗闇でした。
このような条件下で、この窓から脱出し、
杉山さんが窓下に用意した靴を履いたという
のは余りにも不自然な供述としか言いようが
ありません。これは、上の便所の窓をアップした写真。
非常に狭い!検証調書によると、この窓は
高さ36p、巾81p (開口部は36p×40p位で
木の桟が2本共外されていた) となっていま
す。いくら小柄とはいえ、桜井さんがこの窓
を潜り抜けるのは、とても困難です。
また、狭い窓から無理して出たとすれば、
窓枠等に跡が付く筈ですが、検証調書では、
指紋、擦り跡などはなく、出たか入ったか分
からないとされています。
右の写真は、四畳間から八畳間を見たところ
です。間仕切りのガラス戸が2枚、扇風機が1
台横倒しになっているのが分かります。
このガラス戸も、現場から逃走する前に、2
人が偽装工作の為にわざわざ横倒しにしたもの
とされています。
調書では、泥棒がやったように見せかけるた
めにやったことになっていますが、全く無意味
な行動としか言えません。
左の写真は、八畳間の床の陥没した部分。
この写真では、畳と薄縁が取り除いてあり
ますが、ここに頭を押入(上部)方向にして被
害者が倒れていました。
死体には、布団が掛けられていました。
調書では、これも「夜中に泥棒が入って、
寝ている象天さんを殺したように見せかける
為」の偽装工作ということになっています。
この写真では分かりにくいですが、床下に
取り付けられた木箱の枠が見えます。右は、現場の八畳間にあった金庫とロッカー
の写真です。
かなりの物色のあとが見えます。
現場からは、合計43個の指紋が採取されて
いますが、その内はっきりと採取されたのは、
たったの9個しかありませんでした。
その9個の指紋すらも、被害者、捜査関係
者、第一発見者、それに被害者の取引先銀行員
のものでした。
二審判決は、『 指紋がないからといって犯
人でないとは言えない 』としています。
左の写真は、やはり八畳間にあった玉村さ
んの机周辺の様子を写したものです。
ご覧のように、引出しは全て引き出されて
いて、かなり派手に物色した形跡が残ってい
ます。
これだけ荒らされているのに、桜井さんが
金を捜したとされる机やロッカーからは、桜
井さんの指紋はもちろん、被害者の指紋も含
めて、ただの1個も採取されていません。
一体、これは何を意味しているのでしょう
か・・・?
以上の写真は、全て検証調書添付写真から複写したものです。