マンチェスター出身のパンクバンド、バズコックスのリーダー、ピート・シェリーの2ndアルバムは、バズコックス時代の性急なパルスビートをリズムマシーンに置き換えながらも、屈折したメロディメイカーとしての資質はそのままの傑作です。
イギリスでエレポップが台頭してきた80年代初頭に出たアルバムですが、出自がパンクの人なのでひと味違います。他のエレポップのグループのようにリズムを打ち込んでいても、よりビートは激しく、それに乗って刻まれるギターの音色はあくまでソリッドです。また、マガジンのバリー・アダムソンの腰のあるベースもリズム面の強化に貢献しています。そのあたりが、今聴いてもまったく古さを感じない理由かもしれません。
ただ、アナログ盤B面ラストに収録された発信音をカセットテープに録音してパソコンで再生すると映像が見られるというオマケは時代を感じさせます。その程度で邦題が『コンピューター・ワールド』というのも今となっては恥ずかしいですね。(笑)
シングルカットされた1曲目の「愛しのオペレーター」が最近ドコモのCMに使用されたため、ひょっとしたら日本でリヴァイヴァルヒットするのではと期待しましたが、そんなことはまったくなく、未だCD化すらされていない不遇の名盤です。
2002/05/03