ティアーズ・フォー・フィアーズの中心人物ローランド・オーザバル、初のソロアルバムです。
3rdアルバム『THE SEEDS OF LOVE』の後、相棒のカート・スミスと袂を分かち、グループ名を継承してたった一人で2枚の力作アルバムを発表した彼でしたが、なぜかここでは今さらソロ名義になっています。
中身は、ティアーズ・フォー・フィアーズとして出した前2作の方法論をさらに追求し進化させたポップアルバムで、わざわざ名義を変えるほどの大きな変化はありません。スケールの大きさを感じるものの、いわゆるスタジアム級の大味さとは一線を画するサウンドで、冒頭の「TICKET
TO THE WORLD」やシングルカットされた「LOW LIFE」など、次々に怒濤の勢いで迫ってきます。
ポップマニア的には願ったり叶ったりの濃密なサウンドですが、通して聴くには体力がいるのも事実。ここで改めて、グループの薄い部分を担っていたカート・スミスの存在の重要性も感じます。当のローランド本人もそう思ったようで、この後あれだけののしって別れたカートと再び寄りを戻し、晴れてティアーズ・フォー・フィアーズとしての活動を再開することになるわけです。
2006/12/03