ジョン・フォックスが長い沈黙の後活動を再開し、ルイス・ゴードンと組んで放った第二弾です。
前作『SHIFTING CITY』において完全に原点回帰し、クラフトワーク直系のレトロなテクノサウンドを現代に蘇らせてくれた彼ですが、このアルバムはさらにその路線を推し進めており、それはアルバムタイトルにも実にストレイトに表れています。全編を支配する圧倒的なクールネスは、自身の傑作『METAMATIC』をも凌ぐほど。例えば4曲目「INVISIBLE WOMEN」は「錆びた地下道」のフレーズを引用しながら、ヒンヤリさの度合いが確実に増幅しています。それでいて彼ならではのポップさもしっかりと根底に流れているという奇跡的な音美学の極致。まるで真夜中の近未来都市を独り彷徨っているような感覚を味わうことができます。
これを聴く限り、どうやら彼にとってこの相棒を得たことが相当功を奏したようです。ルイス・ゴードンに対して全幅の信頼を置いており、もはや怖いものなしの状態。彼のような孤高のカリスマには大衆におもねることなく唯我独尊の創作活動をしてもらいたいわけですが、本人も最近のインタビューで「容赦のない音楽をルイスとともに実験室で作り続ける」といった発言をしていて、実に頼もしい限りです。
2005/02/23