バンド名がズバリ‘ジャパン’だからか、はたまたその妖艶なヴィジュアル面のインパクトからか、本国よりよっぽど日本で人気があったジャパンの最後のスタジオアルバム『錻力の太鼓』です。このアルバムに至ってシングル「GHOSTS」のヒットもあり、英国内でもやっと評価を受けたようです。
それにしてもこのアルバムのサウンドはめちゃめちゃスゴい!メンバー全員、誰一人としてまともな音を奏でていないんです。まずデイヴィッド・シルヴィアンのヴォーカル。ダメな人には虫唾が走るような強烈なクセのある節回しは、うまいとかヘタとかいった次元を超越しております。また、ミック・カーンの例のポヨ〜ンってフレットレスベースはジャパンサウンドのもう一つの特徴だし、スティーヴ・ジャンセンのシャープでつんのめりそうな変拍子も唯一無二、そしてリチャード・バルビエリによるバッキングのシンセの音色選びはただただ異常。これらが渾然一体となって繰り広げるインチキ中華風味の変態ポップサウンドには何とも言えないシュールな感覚を覚えます。
さらに、このアルバムジャケットの胡散臭さも秀逸でしたが、復刻盤CDでは何のおもしろみもないものに変わってしまいました。「今すぐ元に戻せっ!」と声を大にして言いたい。
2005/03/26