ジェネシスを脱退して7年後に満を持して出たアンソニー・フィリップスの1stアルバムです。
長い充電期間を経た結果彼が選んだ道は、シーンとは無縁の独自のファンタジックワールドを描き出すことでした。美しいジャケットに違わぬ内容と言えますが、サウンド的にはあくまでアコースティックな手法を用いた素朴なものです。彼の奏でる12弦ギターはもちろん、フルート、オーボエ、リコーダー等の調べが牧歌的かつ内省的な世界を効果的に演出しています。
参加メンバーで目を引くのはまずジェネシス一家からフィル・コリンズ。と言ってもドラマーとしてではなく、ヴォーカリストとしての参加です。まだヴォーカリストとしては駆け出しだったため頼りなさげな声ですが、そこがアンソニーの世界にジャストフィット。さらにマイク・ラザフォード。彼の場合はミュージシャンとしてだけでなく数曲で共作者としてもクレジットされています。マイクはアンソニーとはジェネシス以前のアノン時代からの同僚でつき合いが長いため、昔のよしみで今回パートナーとして手を貸したのかも知れません。美しき友情?
この後何枚か歌もののアルバムも出す彼ですが、本作の路線は『PRIVATE PARTS & PIECES』というシリーズに継承され、彼の音楽活動の基盤となっていきます。
2004/12/09