STRICTLY INC. / SAME

(1995)

 ジェネシスが『WE CAN'T DANCE』の後に沈黙していた時期のトニー・バンクスのソロプロジェクト、ストリクトリー・インク唯一のアルバムです。
 トニーのそれまでのソロ作は、前後の時期の本家のサウンドを少なからず反映した内容となっていましたが、それはこのアルバムにおいてもまた然り、…と言うより、ヴォーカル以外はまんまジェネシスです。まぁ、プロデューサーがニック・デイヴィスだったり、ギターがダリル・ステューマーだったりするし。
 シングルカットされた3曲目「ONLY SEVENTEEN」などそれなりにポップな楽曲もありますが、4曲目「悪魔のささやき」あたりでは本性を出してきます。そしてジェネシス的展開(or トニー的展開)が大爆発するのがラストを飾る「暗闇の中の島」。実に17分半にも及ぶこの大曲には本家がとうの昔に捨ててしまった様々な旨味がたっぷりと詰め込まれています。こんな時代錯誤も甚だしいダラダラと長〜い曲、ジェネシス名義では今更やれないんだろうけど、トニーが本気を出せばこの通り。個人的には聴く度に至福の時を味わっております。
 ヴォーカルを元ワン・チャンのジャック・ヒューズに固定したため、何人かのヴォーカリストを起用した前作『STILL』よりも統一感があります。ただし聴けば聴くほど、「これでヴォーカルがフィルだったら…」と思ってしまう罪作りなアルバム。

2004/12/02


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