ジェネシスサウンドの要であるキーボードプレイヤー、トニー・バンクスのソロアルバムです。
要であるだけに各メンバーのソロアルバムの中でも特にジェネシス的な色合いが濃く、ヴォーカル以外はいかにも後期ジェネシスのサウンドになっています。
ヴォーカルには、かつてハワード・ジョーンズなどとともにブリティッシュポップ界のホープと目されたニック・カーショウや、ジェネシスのフォロワーとして成功を収めたポンプロックバンド、マリリオンの元ヴォーカリスト、フィッシュなど4人を使い分けています。そんな中で注目は5曲目の「HERO
FOR AN HOUR」。久しぶりにトニー自身が朴訥な歌声を披露した愛すべきブリティッシュポップの佳曲です。
我こそはジェネシスの屋台骨であると言わんばかりの自信に満ちたポップサウンドで、あわよくば他のメンバーのような商業的成功を狙ったものと思われますが、残念ながらヒットには至りませんでした。トニーのキャラがあまりにも英国的であり過ぎるからでしょうか?でもジェネシスファンとしては、そこに魅力を感じてしまうわけです。
2002/06/08