マイク・ラザフォード渾身の1stソロアルバムです。
後にメカニクスを率いて、アメリカナイズされたポップ路線でちゃんと商業的な成功も収める彼ですが、ここではかなりプログレッシヴなサウンドを聴かせてくれます。ここまで英国的な内容のアルバムは彼のソロのキャリアではほとんど唯一と言っていいんじゃないでしょうか。
そこで目を引くのが参加メンバー。サイモン・フィリップスやモーリス・パートといったその筋の名うてのセッションミュージシャンに混じって、旧友アンソニー・フィリップスがキーボードで参加していますが、これが大きかったのではないかと思います。ジェネシスの中では比較的まっとうなキャラのマイクにアンソニーが手を貸したことが、この陰影に富んだサウンドを可能にしたと考えるわけです。
その最大の成果がアナログ盤A面を費やした25分にも及ぶタイトル曲。スモールクリープという、工場に勤める初老の人物を描いた組曲形式となっており、壮大に盛り上がるわけではありませんが、7つの小曲がメドレーで続いていく中にいかにもジェネシスっぽさが漂っています。また独立した楽曲が並ぶB面ではアラン・パーソンズ・プロジェクトあたりに通じる雰囲気も感じます。おまけにジャケもヒプノシスだし。
問題はヴォーカル。ノエル・マッカラって人なんですが、どうも声質が没個性的なんですよ。こういった不満はトニーのソロと共通しますね。
2004/12/03