アシスタントエンジニアとして、ビートルズの『ABBEY ROAD』やピンク・フロイドの『狂気』等の名盤に携わったアラン・パーソンズがエリック・ウールフソンらと組んだプロジェクトで自ら放った傑作です。
テクノ風味のインストゥルメンタル「狼星」に導かれて始まる表題曲「EYE IN
THE SKY」はシングルヒットしました。抑制のきいたアレンジでありながら実に爽やかな高揚感のあるナンバーで、聴くたびにしみじみとポップのマジックを感じずにはいられません。また、ラストを飾る「OLD
AND WISE」では、元ゾンビーズのコリン・ブランストーンをヴォーカルに起用し、楽曲の美しさを際だたせています。そしてなんと言っても圧巻なのは95人のオーケストラを導入した7分にも及ぶバラード「静寂と私」。ただ大仰なだけの凡百のバラードとはまったく次元の違う大傑作に仕上がっています。このような個々の楽曲ごとの多彩なアレンジは、元々エンジニアやプロデューサーとして活躍していたアラン・パーソンズだからこそなしえた技でしょう。
その後相方のエリックと袂を分かち、現在は本人名義で作品を出し続けていますが、エリックのヴォーカルが聴けなくなったのはちょっと残念です。完璧なアレンジと頼りない声質のミスマッチがイイ味出していたのに…。
2002/06/08