故コニー・プランクとの共同プロデュースによる新生ウルトラヴォックスの第二弾、『エデンの嵐』です。
当時英国にはニューウェイヴの時代が到来し、シーンはまさに百花繚乱の状態でした。そんな中で彼らが打ち出した方向性はヨーロッパ的なアート感覚。そこに、ヴィサージにも関わっていたミッジ・ユーロがファッショナブルなセンスをもたらし、ニューロマンティックの旗手としてついにブレイクしました。
ソリッドなかっこ良さは前作に、カラフルなポップ感覚は次作以降に譲るため比較的地味な印象を受けるかもしれませんが、アルバム全体を通したトータルな完成度は圧倒的で、ここで描き出される華麗なる幻想的世界はまさにロマンティックの極致。翳りを帯びた泣きのメロディラインの「THE
VOICE」や、無機的なビートを駆使してダンサブルに仕上げた「幻想の壁」はシングルヒットしています。また、同傾向のバンドと比べてギターの使い方が絶妙で、例えば「WE
STAND ALONE」のバックで鳴っているギターカッティングの音色など、ミッジのさりげないセンスが光ります。
ラストの「忘却の彼方」まで一気に通して聴くと、一遍のヨーロッパ映画でも観たような余韻が残る、雰囲気たっぷりの傑作。
2005/02/07