COLIN NEWMAN / IT SEEMS

(1988)

 ポストパンク〜ニューウェイヴの中でもひときわ異彩を放つバンド、ワイアーの中心人物、コリン・ニューマンの5枚目のソロアルバムです。
 ワイアーのメンバーはそれぞれバンド以外でも独自の活動をしており、中にはかなり実験的なものもありますが、この人の場合は比較的ポップな作品を発表しています。ただ、そのねじれたポップ感覚はシド・バレットを引き合いに出されたこともある独特なものです。
 このアルバムに関しては、クレプスキュールと並ぶベルギーのインディペンデントレーベル、クラムドディスクから出ているためか非常にヨーロッパ的な雰囲気が漂っており、打ち込みを多用して静かに反復するサウンドのうねりが実に心地良く耳を刺激します。特に、同じレーベルに所属するミニマル・コンパクトのベーシストであり、彼の妻でもあるマルカ・スピーゲルのバッキングヴォーカルが見事にフィットした6曲目の「BETTER LATER THAN NEVER」は出色のデキです。
 ワイアーとして活動する傍ら、ソロとしてもこれだけすばらしいアルバムを発表していたので、バンドが再び沈黙状態に入ってからの彼の動向に期待しましたが、なんと本人まで沈黙状態に入ってしまいました。

2002/09/11


BACK