スティーヴ・ハケットの6thアルバムで、邦題は2曲目のタイトルから『セル151』となっています。
80年代に入ってから、本家をはじめ他のメンバーたちのソロもそれぞれのアプローチの仕方でポップ化を図ったものになっていきましたが、スティーヴもまた然り。時代を反映した産業ロック風の「セル151」、「ブロークン・ハート」や彼にしては珍しくダンサブルな「ホーランド・パークの風」といったヒット性充分のポップな楽曲が目立ちます。彼自身のヴォーカルもいっぱいいっぱいっぽいけど、まぁ及第点。
一方、彼の代表曲「CAMINO ROYALE」ではスピード感溢れるスリリングなギタープレイを聴くことができ、またジェフ・ベックばりのインストルメンタル曲も収録されるなど、テクニカルな面もほどよくちりばめられており、彼の魅力が凝縮された形で詰まっています。さらに「CAMINO
ROYALE」のイントロのフレーズをラストで再び用いて、ムリヤリ全体にトータル性を持たせている構成もOKです。
ただし、この時期の彼の片腕的なキーボード奏者ニック・マグナスのシンセや元ダリル・ウェイズ・ウルフのイアン・モズレイのドラムの音色が大味なのはマイナス。テクニック的には問題ないメンバーだと思うんですが、どうも安易なバッキングに終始しているようでいただけません。楽曲自体は結構イイので残念。
2004/12/17