TEENAGE FANCLUB / GRAND PRIX

(1995)

 90年代にグラスゴーからデビューした、美メロが魅力の轟音ギターバンド、ティーンエイジ・ファンクラブの4枚目のアルバムです。
 以前XTCのアンディ・パートリッジが「お気に入りの若手バンド」として挙げていましたが、その頃の2ndアルバム『BANDWAGONESQUE』や傑作の誉れ高い3作目『THIRTEEN』は、メロディこそ当時のどのバンドよりも美しかったものの、時代を反映したグランジ系にも通じるノイジーかつラウドな垂れ流しギターが個人的にはちょっと耳障りでした。それがこのアルバムではついに音が整理され、独特のダルなメロディの良さが前面に出てきた感じがします。
 このバンドには中心人物のノーマン・ブレイクをはじめ3人のソングライターがおり、それぞれほぼ同数の曲を提供していますが、もれなく美メロで曲調のバラつきが特に感じられないのは驚きです。美しいコーラスで始まるレイモンド・マッギンレイ作「ABOUT YOU」で一気に聴く者のハートを鷲づかみにし、続くジェラルド・ラヴ作の「SPARKY'S DREAM」も泣き泣き。これでもかこれでもかとイイ感じの曲が続きますが、白眉はノーマン作の「NEIL JUNG」。サビの部分の一瞬のタメがキマり過ぎでグッときます。
 このように自然体の美メロが最大の魅力の彼らなので、あまりアレンジに凝ったりはしないようです。個人的にはそれがちょっと歯がゆいかな。

2004/07/27


BACK