RICH KIDS / GHOSTS OF PRINCES IN TOWERS

(1978)

 第二期ウルトラヴォックス成功の立役者ミッジ・ユーロが在籍したリッチ・キッズ唯一のアルバム、『王子の幻影』です。プロデューサーはミック・ロンソン。
 パンクの嵐が吹き荒れる中、セックス・ピストルズを脱退したベーシストのグレン・マトロックが中心になって結成されたこのバンドですが、そのピストルズにはギタリストのスティーヴ・ニューも数週間在籍していたり、ミッジ自身もジョニー・ロットンの前にヴォーカリストとしてオファーを受けていたそうで、サウンドも当然パンキッシュ。ただし、グレンがポール・マッカートニースモール・フェイセスのファンだっただけあってポップなメロディのナンバーが目立ち、単純にパンクといったカテゴリーにくくることははばかられます。いわゆるパワーポップという表現が最もしっくりくる感じ。
 曲ごとのクレジットをみると、マトロック&ニューのコンビで書いた曲とミッジ単独の曲に大別され、バンド名そのままのシングル「RICH KIDS」をはじめとするシンプルかつストレイトなマトロック&ニューの曲に対して、「MARCHING MEN」や、「LOVERS AND FOOLS」といったミッジの曲調には既に幅広い音楽性を感じます。そのおかげでアルバム全体の流れが単調にならず、それなりにおもしろい作品になっていると思うんですが、実際そういった資質の違いこそこのバンドが短命だった理由かも。
 この後ミッジはヴィサージ〜シン・リジーのツアーメンバーを経て、ついにウルトラヴォックスへ。

2005/02/26


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